2022年度
1.日本社会の多様性が「見える化」することによって意識が変わる
社会の「見える化」を目指す。国際的文脈に位置づけます。
2.教師のグローバル多文化力が児童生徒のグローバル多文化力を育てる
グローバルと日本社会内を結びながら、次世代の教師の育成に関わるような教材を企画しています。
3.日本版グローバル多文化社会がなぜ必要か?
日本版のグローバル多文化社会について発信します。
グローバル化が進む今日、日本の教育は国際社会と多くの課題を共有しています。それぞれの長所をいかしながら、共に課題と向き合うような学びの仕掛けを考えてゆきます。本研究所の「国際協力」部門ですすめているような、全人的な枠組みからの教育、非認知的領域の教育はまさにこうした切り口の一つです。パンデミックによって、学校が単に狭い意味の「勉強」をすることにとどまらず、友達と協働したり、未来の夢を築いたり、人間形成がされてゆくところでもあることへの認識が深まりました。特に、貧困等、社会的に困難を抱える子どもは学校が何を提供するかに影響を受けることも多く、コロナ禍で学校が臨時休校した時には、栄養バランスがとれた学校給食の役割等が国際的にも再評価されました。そして、多様な民族、人種、属性を持つ子ども達を全人的な枠組みから育てながら、多様性を享受する仕組みを作ってゆくことが、これからの時代を生きる子ども達に不可欠であることは言うまでもありません。こうした観点から、2022年度は多文化社会としての日本の「見える化」が大きなテーマとなっております。
国際化、多文化化対応の遅れは日本の教育のアキレス腱
国際化、多文化化対応の遅れは日本の教育のアキレス腱です。社会は多様化しているにもかかわらず、日本の教育は生まれてずっと日本の制度の中で育ってそれに馴染んでいるような同質性が高い就学人口を想定しています。意識としても制度としてもグローバルで、多文化化した社会、世界に対応することが求められています。多文化化の「見える化」、「聞こえる化」、「意識化」と「自分事化」を考えております。
他の先進諸国では、グローバルな視点や多文化理解、世界のことも、自分の社会の問題をもつなげながら「自分事」として理解・行動する、つまり、「グローバル多文化力」の向上を目指すコンテンツは当たり前のように教職の書に含まれています。21世紀を生きる子どもにとっても教育者にとっても基礎教育だからです。
国際移動、民族や宗教問題、貧困、マイノリティ、南北格差等、グローバルなテーマを身近な多文化の共生に関する課題と結び付け、相手のニーズに対する知識、「自分事」にする議論、コミュニケーション・スキルとしての外国語や離れた場の人々の状況を身近に知るICTの人道的な活用を含めた「グローバル多文化力」の向上を、より多様で、より公正な社会や世界を担う子ども達の学びと結び付けて提示します。
多文化社会日本「見える化」プロジェクトー在日ブラジル人コミュニティからの発信
グローバル多文化社会日本を「見える化」させ、「グローバル多文化力」の向上に結び付けようとする第一弾として、日本の(「外国人」)移民の代表的なエスニック・コミュニティでありながら、日常語(ポルトガル語)の違いや日本社会の無関心等によって「見えない」「聞こえない」在日ブラジル人コミュニティの当事者の視点を入れながら「見える化」し、国際理解教育、GIGAスクール等で児童生徒の「グローバル多文化力」向上に用いることができる教材としてまとめようとしております。
(関連情報はニュースレター1号参照)(ヨシイ・ラファエラ主任研究員)
ニュースレター11月号(第1号)から順次掲載予定
一般社団法人 グローバル多文化社会研究所
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